Kagiyama kenchiku sekkei        鍵山建築設計      Small fantastichouse story  


住育

コラム

食べ物で子供に教える食育に対して、家・住まいで教える事を住育と呼ぶ、としましょう。
                                            東京都立川市 一級建築士事務所 鍵山建築設計


引き戸・・・

昔の家屋の引き戸は、建て付けが悪くなってくると、開け閉めにちょっとした工夫が必要でした。持ち上げながら・・・とか、押しながら・・とか。或いは、開ける時は硬いけれど、反対に閉める時はスッーと行くので、勢いを付けないように。とか・・・。勢いよく閉めると、バーンと跳ね返り、少し開いてしまいます。

最近の既製品の建具は、たとえ、そんなお行儀の悪い子がいてもキチンと閉まるよう、ストッパーや跳ね返り防止金物を付けて、事前にキチンとした対応をしています。・・・が、親のいない場面、例えばお友達の家に遊びに行っている時、親戚の家に行っている時、“家で教えた”住育があなたを助けます。

コート置き場・・・

訪問時、コートをどこで脱いで、どこに置き、いつ着るか。面倒だから、ずっーと着ている?就職試験の時に、初めて知った!?玄関に来客用のコート掛けがあったら、今頃恥をかかずに済んだのに。“家で教わった”住育があなたを助けます。

靴の脱ぎ方・・・

言わずと知れたこの作法。『よそに行った時には、ちゃんとやってるから大丈夫』と、神経を使うより、普通の事になれたらもっと安心。子供の時から、やっていれば何でもない事。“家で教えた”住育があなたを助けます。

洗面台・・・


使っている時より、使い終わった後の様子。髪の毛、水しぶき、洗面ボールや洗面台トップの汚れをふき取っておくのは、住育以前の問題。公共の場の洗面所で足元の床まで、ティッシュで拭いていた女性の話を聞きました。これぞ、住育。“家で教わった”住育があなたを助けます。

そして・・・

自然素材のやさしさやきびしさ、ペットの生死、ご近所さんや地域とのコミュニケーションなど、生活のあれこれ。目や耳にして、“いつの日か身に付いた”住育があなたを助けます。


今の世の中、メンテナンスが要らない部材やシステムが氾濫しています。すぐに拭きとらなくても浸みてしまわない、変色しない、素晴らしい建築資材がどんどん開発されています。
本当に、それで良いのでしょうか。

家庭用の水栓にもセンサーが付いて、手を出せば水が出、下げると止まります。健康な人でも、便器の前に立てばフタが開き、離れると閉まって水か流れます。自動でなければ、子供たちに教える事があったかもしれません。私たちが子供の頃に想像できなかった、数々の便利な事はとっても有難いのですが、その反面、住育を教える場面が少しずつ減っていくのは、少し淋しい気がします。

親から教えられ、受け継ぎ、次の世代に引き継いでいく。私たちに課せられたその使命を、出来ればひとつでも多く“住育”していきたいと願わずにはいられません。